こちょぐりにーた PACKED

blogで書いたくすぐり小説、ここで合体ひとまとめ。探す手間が省けます。

!!18歳になっていない人は見ちゃダメ!!

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ウォーティ×ミラー(CCさくら)

あの日から、私たちは自分の意志で、自らを発動できるようになった。

一枚のカードでしかなかった私たちに与えられたのは、突然の自由。

そして、あるじである、さくらという名の少女との離別。

 

この世界は秩序ある、いわば神によって定められた正確な法則の上になり立ち、規則正しく運用されている。

だが、私たちのあるじは、旅立つ際に、こんな言葉を残した。

 

「私は、この世界のことを、規則正しい秩序という名の海の水底深くに沈む、貝のような物だと思っていた」

 

あるじは、私たちに自由を与え、おそらく私たちの知らない場所を歩いている。

私たちは、あるじが戻る時を待ち続けることだけが許された。

 

だが、私たちカードは、あるじの力なくしては生きていくことができない。

クロウリードの魂の一部を受け継いだ少年の配慮により、力の源を他に頼ることで、私たちは危機を脱した。

しかし……

 

◆◆◆

 

 

「……ちょ…ちょっと、派手な水着……だったかな……」

 

脱衣場の鏡の前で、私は自分が身につけている水着は、ビキニ……と言うのでしょうか?

その白い、露出度の高い水着を見つめながら、ポツリとつぶやきました。

少なくとも70年前には、こんな露出度が高い水着はありませんでした。

当時の水着は、ようやくツーピースの水着が出始めた頃。

当時の人がこれを見たら、どう思う事でしょう。

まだまだ、現代の日本文化は、私には良く分かりません……

しかし、と私は思います。

 

この水着は、フィットネスショップへ、桃矢お兄様と出かけた時に買っていただいた水着。

お兄様が「似合ってる」と言ってくださった水着です。

…鏡に映る自分の顔が、見る間に赤くなっていくのが分かりました。

 

それに、この水着は私にとって大切な行為を行うために必要な物。

今までは、さくらさんの水着を借りていましたが……その水着は、どのように言えば良いのか分かりませんが、私の体にはピチピチサイズでした。

この水着は、私の体に丁度良いサイズです。

良いサイズなのですが……

私は、再び鏡に映る水着姿の自分を見つめます。

日頃から、あまり肌を露出するという事に慣れていないせいもあってか、恥ずかしさに、思わす目を背けてしまいます。

 

でも、でもです。

これはお兄様が「似合っている」と言ってくださった水着で―――

 

「おい、何やってる?早くしろ」

 

お風呂場の中から、イライラしたようなくぐもった声が響いてきます。

そうでした……

 

「ご、ごめんなさい!」

 

慌てて、そう返した私は、ガラガラとお風呂場の戸を開けて中に入りました。

 

私たちカードにとって必要な行為。

私にとって、とても苦しい、でも、生きるためにはどうしても必要な行為。

そして、ちょっとだけ密かな楽しみになっている行為が、始まろうとしています。

 

◆◆◆

 

 

お風呂場の中は、むんとした湯気で満たされています。

長い髪が湿気を含み、少しだけ重くなったように感じました。

湯船の中ではウォーティが、いかにも不機嫌そうな顔つきで腕組みをして、こちらを睨んでいます。

 

「おそいぞ」

「ご、ごめんなさい!」

 

両手を合わせて謝る私ですが、その言葉を無視するように、シュルシュルと水のツタが私の腕を絡め取ります。

そのまま、悲鳴を上げる間もなく、湯船の中に引きずり込まれてしまいました。

どちらが上なのかも分からず、しばらく水中でもがいた私は、顔を水面に出し大きく息を吸います。

 

そんな私の姿を、おかしそうに見つめるウォーティ。

ウォーティは、ちょっと乱暴ですが、本当はとても可愛い人なんです。

……なんて事を言ったら、きっと、ものすごい勢いで怒られそうなので、私はおくびにも出しません。

 

「さて、始めるぞ…って、お前はなんちゅー水着を着てるんだ……」

 

ウォーティは、私が身につけている白いビキニを見やると、半ば呆れたような口調で言いました。

 

「あ、あの……」

「それは、今年流行のバンドゥ・ブラとか言うヤツだな?ストラップは付けない派なのか……ふんっ、現在かぶれのような、そんな破廉恥(はれんち)な水着など……」

 

かぶれてます。

ウォーティ、あなたは間違いなく、私よりも現代にかぶれてます。

 

「あ、あの……」

「まったく、さくらカードともあろう者が。まあ、どうせ、ユエにでも頼んで、買ってきてもらったのだろう?」

 

世も末だとばかりにまくし立てる彼女。

ウォーティは可愛い人なのですが、もう少しだけ素直になってくれたら……なんて事は思っても決して口には出しません。

 

「あ、あの……と、桃矢お兄様に連れて行ってもらったんです……」

 

顔を伏せてポツリと言うと、ウォーティの体が…私が浸かっている水温がちょっとだけ熱くなったように感じました。

 

「と、と、桃矢とだと!?」

 

ウォーティは声を荒げ、顔をずいと私に近づけてきました。

カッと見開いた目に凝視されて、思わず私は目を閉じてしまいます。

 

「ウォーティ……目が怖い…怖いです……っ」

 

私が少しだけ怯えながら言うと、彼女は「あ、ああ」と声を漏らし、その気配が遠のくのを感じた。

恐る恐る目を開けると、ウォーティは腕組みをしながら「まあ、兄と妹が買い物に行くのは普通な事か……」と、何度もかぶりを振っています。

 

「あ、あははは……」

 

乾いた笑いで、何とかその場を切り抜けようとする私でしたが、ウォーティは突然「ん?」と唸り、私の水着をマジマジと見つめてきました。

例え、ウォーティの性別設定が女性であっても、そう、マジマジと見つめられるのは恥ずかしいものです。

私は思わず胸を両手で隠してしまいながら、じーっと、こちらを見つめている彼女の顔を、恐る恐る伺いました。

 

「……あっ、お前、どうして自分の体にピッタリな水着持ってんだよ!おかしいだろ、それ!」

 

とてもつない秘密に気づいてしまった名探偵のような顔で、ウォーティが指をさして来ます。

私は、ただ、彼女の反応に首を傾げることしかできませんでした。

 

「え……えっ?」

 

わけが分からず、たじろぐ私。

 

「どうして、あるじの姿で買い物行ったのに、今のお前の体にピッタリな水着を買えたんだ!?」

「あ、あの……私、この姿でお買い物に……」

 

私の体を包み込んでいた水が波打ち、明らかに水温が上がったのを肌で感じました。

驚きを通り越して、“愕然”という表現がしっくり来るような表情のウォーティの眉間が、ピクピクと動いているのが分かります。

怒ってる……すごく怒ってる!?なんで!?

 

「ひぃぃ!?」

 

思わず悲鳴を上げてしまう私に、ウォーティはニコニコと不気味な笑みを浮かべながら近づいてきます。

私は後ずさると、彼女が間合いを詰める。

しかし、狭い湯船の中のこと、すぐに私の背中は湯船の端に当たり、ずいずいと近づいてくるウォーティに怯える事しかできなくなってしまいます。

 

「ミラーさん、ミラーさん?」

「は、はいぃ!」

 

優しい口調のウォーティが、じりじりと近づいて来ます。

笑顔ですが、目だけは全く笑っていないのが分かります……

 

水中で生まれた流れが、私の両腕を湯船の縁へと持ち上げると、水面から立ち昇った水流のツタが絡みつきます。

その水流は、まるで拘束具のように両手首を縛り付け、両腕の自由を奪われた私は、動揺を隠せませんでした。

いつもなら、拘束などしないはずなのに……

しかし、今日のウォーティは徹底的に私の体を拘束したいのでしょうか、水中にある私の足や胴体の色々な部分に水流が生まれ、確実に自由が奪われていきます。

やがて、私の体はほとんど動かせないほどに縛り上げられ、自由が利くのは水面に出ている両手指と、首から上だけになってしまいました。

 

(……始まる)

 

私は息を呑むようにして、ぎゅっと身を固くします。

いつもとは異なる状況ですが、これから何が始まろうとしているのか、私は知っていました。

それは、私たちカードにとって必要な行為。

私たちカードが魔力の代わりにエネルギーを得るための、食事のような行為。

とても苦しく辛い、でも、ちょっとだけ楽しみな行為。

 

「ミラー、今日は徹底的にやらせてもらうから、覚悟しろよ……」

 

にんまりと笑うウォーティに、私は恐怖を感じましたが、その恐怖はすぐに、異様な感覚に飲み込まれてしまいます。

水中に沈む、私の体のあちこちから、形容し難い刺激が送り込まれ始めたのです。

あえて、それを表現するとしたら、細く柔らかな棒のような物が皮膚をつついているような感覚。

それが、全身の至る所で生まれ、私の中で、ある衝動が膨れあがっていくのです。

その衝動は「笑い」。

全身から送り込まれる、くすぐったい刺激が、私に「笑い」を引き起こそうとしているのです。

 

「……くっ……ウォーティ…ぅひぃっ……」

 

 

「笑い」という、日常にありふれた感情こそが、私たちカードのエネルギーの源の一つになる。

クロウ・リードの生まれ変わりである少年は言っていました。

面白いテレビの番組を見れば笑いが生まれますが、私たちに必要な笑いは、そんな小さな笑いでは足りません。

笑いというエネルギーは、魔力に比べれば微々たるものに過ぎません。

しかし、笑いのエネルギーは、笑っている者と、笑わせている者の両方に、エネルギーを与えてくれる特殊なもの。

 

この他にも、いくつかエネルギーを得る方法はありますが、私を含む一部のカードたちは、最も効率がよい「笑い」を、エネルギー源として選びました。

そして、「笑い」を効率よく得る方法として、私たちは互いを、くすぐり合うことにしたのです。

 

 

優しい刺激が絶え間なく走ります。

優しい刺激と言っても、私にとっては全く優しいものではありません。

敏感な肌を撫でられ、つつかれる感覚に、今にも笑いが溢れ出しそうになりますが、私は必死に我慢します。

 

大声を出して笑ってしまえば良いのですが、私も性別設定は女のカード。

大口を開いて笑い狂う姿を見せるのは、かなり恥ずかしいのです。

 

「くひっ!……くくっ!………はっ!…ひゃはっ!……」

 

唇を噛み、お腹の奥から吹き上がりそうになる笑いを、何とか我慢します。

しかし、水中のいたる所から送り込まれる刺激は、私に休む間を与えてはくれません。

両方の脇腹を、細い沢山の指先でつつかれている感触。

背筋を太く柔らかい物が、何度も上っては下っている感触。

太ももを、指先でサワサワと撫でられる感触。

決して、それは痛みを伴いませんが、どれだけ経験しても慣れようがない不思議な感触です。

 

「くっ……くぅっ!うぅぅ……!」

 

笑いを必死にかみ殺す私ですが、いつもなら、少しでもくすぐったさから逃れようと体を動かす事ができます。

しかし、今日の私はほとんど体の自由を奪われている状態。

身をかばう事も、気を紛らわせる程度でも、体を動かす事はほとんどできません。

 

「ほう、がんばるじゃないか。じゃあ、こちょこちょ……」

 

ウォーティはそう言いながら、私の腕の付け根へと指先を滑り込ませて来ました。

両手首を縛り付けられ、肘は水中で拘束されているので、腕の付け根に微かな隙間が空いています。

突然の脇の下への刺激に、私は「あひゃっ!?」と声を上げて、必死に腕を閉じようとしますが、水の束縛はビクともしません。

 

「ほぉ〜ら、こちょこちょこちょ」

 

ウォーティが怪しい微笑みを浮かべながら、私の脇の下の中で、指を動かし始めました。

指先が柔らかな脇の下の皮膚の上を走る度に、私の中に閉じこめている笑いの衝動が大きくなっていきます。

頭を大きく横に振って、その衝動を何とか抑え込もうとしますが、ウォーティの意地悪な指先は、脇の下の中でダンスを踊るように刺激を送り込み続けます。

 

「んんっ!!うひっ!……くっ!くくっ!むぅぃ!!」

 

私をくすぐり続けているウォーティの顔は、とても楽しそう。

まるで、悪戯を楽しむ子供のような顔で、私の反応の1つ1つを試しているようです。

指先を脇の下の奥へ差し込み、グリグリと揉むように動かしたかと思うと、今度は二の腕を優しく愛撫して来ます。

指一本で、ツンツンとつつき回していたかと思うと、両方の5本の指で、脇全体をかき混ぜるように翻弄して来たりするのです。

まだ始まったばかりだと言うのに、私の額には汗が浮かび始めていました。

 

「さて、今日は私が気の済むまで止めないから、覚悟しろよ」

 

ウォーティがそう言うと、私がそれに受け答える間もなく、凄まじい刺激が全身を駆けめぐりました。

今までサワサワと撫でるように蠢いていた水面が、突然、揉みしだくような動きに変わったのです。

 

「ひぁっっ!!あぐっ!!」

 

いつもとは明らかに異なる、激しい刺激に私は全身に力を込めて耐えようとします。

しかし、浴槽に沈んでいる私の体は、ウォーティの為すがままに翻弄され、それを防ぐことすら出来ません。

脇腹に、無数の刺激が送り込まれています。

背中にも、太ももにも、ふくらはぎにも、沢山の刺激が送り込まれ、それは時を経る度に激しく、数を増しているように感じられました。

脇の下への刺激も、ウォーティの指先だけに止まりません。

水中に生まれた無数の塊が、ムニムニと柔らかい脇の下の皮膚を揉み上げ、我慢のならない強烈な攻撃を仕掛けて来るのです。

 

「ぃひっ!!くはっ!あはっ!!あははははは!!」

 

ついに、それらの攻撃に陥落した口が開かれて、今までお腹の中に貯めていた笑いが一気に吹き出してしまいました。

一度笑いが沸き起こると、それを止める事は自分の意志では出来ません。

ウォーティの意地悪いくすぐりに、全身の皮膚が悲鳴を上げているみたい。

私はただ、頭を横に激しく振り、少しでも、その怪しい刺激を紛らわそうとします。

 

「ひはははは!!くすぐっ……!くすぐったい!!ホント!ひゃひっ!ホ、ホントにくすぐったいぃ!!!」

「うむ、まあ、くすぐっているからな」

 

ウォーティはニヤニヤしながら、冷静に言葉を紡ぎます。

私が本当に苦しがっている事を、彼女には伝わっているのでしょうか?

きっと伝わっているはず、少しでも、くすぐったさを和らげてくれる事を願い、私は何とかして、苦しさとくすぐったさを伝えようと努力します。

 

「ひゃはははは!ウォーティ!くすぐったいですぅぅぅ!!ホントです!くふっ!本当にっ!あはははは!」

「そうか、がんばれ」

 

ウォーティは、相変わらずニヤニヤしながら、私の悶える姿を見つめるばかり。

そのくすぐりを、和らげて等くれそうにありません。

脇の下から脇腹にかけて、沢山のデコボコがツンツンとつつき回しています。

 

「くふふふふ!わ、脇ダメ……脇だけはッ!!」

 

太ももは、外側と内側にかけて、沢山の手が撫で回し、足の付け根を指先がクリクリと刺激しています。

ヒザの裏側を、ネットリとした筆先のような物が蠢き、ふくらはぎを小さな手のような物がモミモミして、くすぐりの刺激を絶え間なく送り込み続けています。

 

「へぁはははは!!あっ足もダメぇぇ!足もやめてぇぇ!!」

 

目尻から涙が浮かび、汗が止めどもなく流れ出してきます。

笑いは、私から確実に体力を奪っていきますが、魔力は確かに上がっているのが分かりました。

 

「仕方ない……では、特別に足の裏もくすぐってやろう」

 

やれやれと言った調子に、彼女は私の右足を水上に引き上げると、脇の下から指先を離しました。

ほんの少しだけ脇の下へ送り込まれる刺激が和らぎましたが、焼け石に水とはこの事を言うのでしょう。

全身を包み込むウォーティの執拗な刺激は一向に止まる事を知らず、私にくすぐったさを送り続けています。

激しいくすぐったさの中で、私の頭は、先ほどのウォーティの言葉を思い出していました。

『足の裏』という言葉に、私はハッとして思わず大声を上げてしまいます。

 

「ひひひ!足の裏ダメぇぇぇ!!ホントですっ!くひっ!本当にダメなんですぅっ!!」

 

足の裏へのくすぐり、それは、私が一番苦手とする場所です。

私の弱点は、脇の下と足の裏。

先ほどよりも脇の下への攻撃は和らいだと言っても、今でも脇の皮膚の上では、沢山の指先のような感触がしきりに刺激を送り続けているのです。

そこに、足の裏への刺激が加わったら……

想像を絶するくすぐったさの嵐に、私は本当に発狂してしまうかもしれません。

 

「ウォーティ!ひはははっ!足の裏だけはっ!くふふふふっ!お願いっ!本当にお願いだからぁ!!」

「ふふふ……それは楽しみだな」

 

ウォーティが足首を持ち、足の裏に指をあてがいました。

その刺激だけで、私の全身に強烈なくすぐったさが突き抜け、体中がビクビクッと反応してしまいます。

 

「こちょ、こちょ、こちょ」

 

ウォーティが、ゆっくりと指先を動かし始めると、足の裏から信じられないほどのくすぐったさが襲いかかってきました。

脳天へ貫くような衝撃とは、まさにこの事を言うのでしょう。

もう、自らのなりふりなど構っている場合ではありません。

 

「ぎゃあひぃぃぃ!!だめぇ!!あはははははは!!ダメダメダメ!!ひゃはははははははッ!!」

 

動かせる部分を全部動かして、私は出来うる限りの方法で、その刺激を受け流す方法を探しますが、そんな事ができるはずがありません。

5本の指先が、足の指の間を縫うように刺激し、土踏まずの真ん中をかき混ぜるようにくすぐっているのが分かります。

 

「ぎゃひゃはははははは!!だめぇ!!くははははは!」

 

それは、私が想像していたよりも、ずっと激しく、ずっと苦しい刺激でした。

足の裏という弱点を、ウォーティの細い指先が絶え間なくくすぐり続け、頭の中では少しずつ「くすぐったい」という事しか考えられなくなって来ています。

口からは笑いすぎたせいでしょうか、涎が流れ、それを拭う事も許されません。

本当に苦しく、本当にくすぐったい、地獄のような足の裏への攻撃に、私は暴れ回ろうと体中に力を込めますが、縛り上げられた体の自由を取り戻す事は出来そうにありません。

身動きができず、くすぐられ続ける事が、こんなに苦しい事だったなんて……

 

「あははっ!あはっ!くぅひひひっ!ダメ!本当に死んじゃう!死んじゃいますっ!」

 

笑い続けていると、満足に息を吸う事ができません。

頭の中がぼんやりとして、それでも、くすぐったさという恐ろしい感覚は、私に笑いを強要します。

体中への刺激はもちろんですが、ウォーティのネットリとした足の裏へのくすぐり地獄に、私が笑い狂う有様は、他の人にはどのように映るのでしょう。

瞳から涙が流れ落ち、全身がまるで全力で500メートルを走りきった後のように熱くなっているのが分かります。

ひどく疲労した体からは力が抜け、それでも本能的に反応し続ける全身が、さらに私から体力を奪い取って行くのです。

 

突然、私は自分の脇の下で異変が起きている事に気づきました。

足の裏へのくすぐりによって幾分か刺激が和らいでいた脇の下、そこに、突然の激しい刺激が走ったのです。

 

「ひはっ!?」

 

大きく息を吹き出し、朦朧としていた頭が一気に目覚めました。

脇の下の中で、何かがモゾモゾと蠢いている感覚に、私はひどく動揺し、大きな笑い声を上げてしまいます。

 

「あははははは!!なに!?なんで!?くふっ!脇がっ!!脇がぁぁあはははははは!!」

 

なんで?どうして?

疑問が次々と脳裏を掠め、パニックに陥りつつ、私は脇の下に増え続ける刺激の正体を何とか掴もうとします。

もはや目を開ける事もままなりませんが、必死に首をもたげて見ると、私の脇の下へ向けて、水中から透明の触手のような物が大量に伸びてきているのが見えました。

その触手が、私の両脇の下に次々と忍び込み、ウネウネと蠢いているようです。

指とは異なる、柔らかく振動するような刺激は、脇の下の薄い皮膚にとって、これ以上ないほどの非情な攻撃です。

次々と増え続ける触手が、脇の下を隙間無く埋め尽くし、それぞれが異なる刺激を送り込んでくるという状況に、私が耐えられるはずがありませんでした。

 

「ぎゃああ!!あははははははは!!あはっはっはっ!!ぎぅッ!」

 

脇の下を閉じる事もできず、まして、それを避ける事もできず。

微動だにできない状態で、ただ、中途半端に開かれた脇へ、くすぐったい刺激が延々と送り込まれ続けるのは、拷問に等しい攻撃です。

 

「ひぎぃぃぃぃ!!おねがひぃ!!閉じさせてっ!脇っ!脇ぃぃ!!」

 

自分でも一体何を懇願しているのか分からない言葉が、無秩序に口から突いて出ます。

しかし、そんな懇願など、ウォーティが聞いてくれるはずがありません。

足の裏をくすぐりながら、彼女は楽しそうに、私の顔を見つめるばかり。

 

「ウォーティ!お願ひぃ!!くはは!ひゃははははは!!もうダメっ……はははははは!死ぬぅぅ!!死んでしまうですぅぅ!!!」

 

言葉を考えてから口に出せる状態にありません。

思いついた限りの懇願の言葉を、くすぐったさから開放されたい一心で発するだけで精一杯。

 

「ひゃはははははは!きひっ!!ゲホッゲホッ……ぎゃひゃははははは!!」

 

脇の下と足の裏、脇腹や太ももへの刺激も、どれもが耐え難い、おぞましい刺激です。

その恐ろしい刺激の1つ1つが、私に堪らない意地悪な攻撃を仕掛けて来ます。

笑いが止まらず、口からは涎が流れ出しています。

 

「ひへへへへ!ウォーティぃぃぃ!!なんでもする!!あははは!!何でもする!!くくくっ!くははははは!!」

 

自分の意識ではない、私の言葉ではない言葉が次々と口から流れ出します。

しかし、ウォーティは、ただ楽しそうに微笑んだまま、黙ってくすぐりを続けるのです。

 

ああ、私は一体どうなってしまうのだろう。

あと、どのぐらいくすぐられ続けるのだろう。

ただ、くすぐりという単純で最も残酷な感覚から逃れたい一心で、私はウォーティに懇願を続けるしかありませんでした。

 

 

◆◆◆

 

 

 

どのぐらいの時間が経ったのでしょうか。

ただ、笑う事しか許されない時間は、私にとって永遠と言っても過言ではないほど、長い長い時間だったように感じます。

私の体を覆い尽くす、くすぐったさの連鎖は、まだ続いていました。

どれもが激しい刺激であるにも関わらず、どこから、くすぐったさが送り込まれているのかすら分からなくなって来ています。

全身が激しく疲れ切って、もう抵抗する力も残っていません。

先ほどまで、激しく動かしていた頭もうなだれ、口からは、ただ笑い声だけが吹き出すばかり。

ぐったりとして、頭の中には思考の欠片もなく、ただ「くすぐったい」という事だけしか考えられなくなっていました。

 

「ははは……けほっ……あははは…もうらめて……あは…なんれもするからぁ……」

 

いよいよ、頭がぼんやりとして、意識が遠のき始めています。

体力など、すでに尽き果て、気力も僅かにすら残っていません。

すっと意識を失いかけた瞬間、私の全身を覆い尽くしていたくすぐったさが止みました。

 

「ちょ、ちょっとやりすぎたか……?」

 

ウォーティの言葉は、私の耳にはまどろみの幻聴のようにしか届きません。

ふわりと、体が持ち上げられ、背中に冷たいタイルの感触。

どうやら、ウォーティが私の体を抱きかかえて、洗い場へ寝かせてくれたようでした。

 

「ミラー、大丈夫か?」

 

朦朧とする意識の中、微かに目を開くと、そこには心配そうなウォーティの顔。

ウォーティの指先が、私の口に入った髪の毛をほどいてくれています。

 

「あははは……はは……」

 

大丈夫ではありませんでした。

私の体からは体力が根こそぎ奪われて、すでに立ち上がる事はおろか、しゃべる事すらできそうにありません。

くすぐったさの余韻で、まだ皮膚の上で何かが踊っているような気がして、笑いだけが口から漏れだしてしまいます。

 

「す、すまん、ミラー……だ、だって、桃矢と買い物なんて行ったって言うから……」

 

ああ、ウォーティも買い物へ行きたかったのかな……

ぼんやりとして、体中が重く感じる中、私はこんな事を考えていました。

 

そして、視界が深い闇へ飲み込まれる途中、自分の体の中で、確かな感覚が芽生えていた事に気づいたのです。

あれほど苦しく、あれほど辛かったのに、また、くすぐられたい。

気持ちいい事をされたい。

 

とっても、眠いです……

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