こちょぐりにーた PACKED

blogで書いたくすぐり小説、ここで合体ひとまとめ。探す手間が省けます。

!!18歳になっていない人は見ちゃダメ!!

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ミラー×ウォーティ(CCさくら)

今日の昼間、買い物へ出かけた時に感じた涼しい風は、私の気のせいではなかったようです。

夜の帳が降りる時間も早まり、日に日に秋を感じることが多くなる季節になりました。

空には相変わらず、大きな入道雲が浮かんでいましたが、時折、思い出したかのように、筆で撫でたような筋雲が浮かんでいることがあります。

それを見る度に、夏の終わりを感じて、ほんの少しだけ寂しさを思います。

 

この夏は、色々なことがありました。

カードとしてではなく、実体化した姿で過ごした、初めての21世紀の夏。

70年前と異なる世界は、私たちにとっては目新しいものばかり。

 

……それを一番楽しんでいるのは、外を自由に出歩ける私やパワーではなく、ウォーティかもしれません。

そう思いながら、私はソファの上で真剣な眼差しでテレビを見つめているウォーティに視線を送ります。

 

テレビに映されているのは、桃矢お兄様が借りてきて下さったレンタルビデオ。

内容は、SFアクション……と言うらしいです。

私はあまり、そういう激しい映画やビデオを見ないので分かりませんが、ウォーティは、こういう映画が好きみたい。

 

映画もクライマックスに差し掛かり、ストーリーはものすごく盛り上がっています。

 

地球に近づく、巨大な隕石。

隕石に乗り込んで、主人公たちは、爆弾を爆発させなくてはいけません。

でも、機器の不調や、国家の思惑が交錯し、誰か一人が隕石に残って、爆弾を爆発させなくてはいけなくなってしまう。

そんな感動的な場面、本当なら、私も涙をにじませたいのですが……

 

「……うぅぅっ…なんでお前なんだよぉ……ぐすっ……」

 

テレビに向かって、涙声で訴えかけるウォーティに思わず目が行ってしまいます。

いつもは気丈で、決して私たちの前で涙は見せないウォーティ。

でも、テレビに夢中になっている彼女は、私が知っている彼女ではないみたい。

私が、リビングに入ってきた事も気づかず、映画に見入っている彼女の目は、本当にキラキラと輝いていました。

 

映画のひとつひとつのシーンに一喜一憂する姿を、こうしてテーブルに腰掛けながら見つめていると……

決して彼女の前では言いませんが、とても可愛らしくて、思わず笑みがこぼれてしまいます。

 

「……ああ…帰りたかったよなぁ……ぐすっ…分かるよ…私は分かってるよ……うぅ……」

 

主人公の娘の結婚式、写真で列席した主人公。

肩を震わせて、何度も何度もしゃくり上げ、ティッシュで鼻をチーンとかむ後ろ姿を、ほんのちょっとだけ涙を混ぜながら、私は微笑ましく見つめています。

結婚式のシーンが細切れに流れて、最後に、主人公の娘の顔が流れるように映るシーン。

 

両手で顔を覆って、声を殺して泣くウォーティ。

その、小さな子供がすすり泣くような後ろ姿に、私は微かな戸惑いを感じてしまいます。

 

「…ううぅ……うううぅぅ……」

 

しばらく、こもった嗚咽を続ける彼女を、そっとしてあげたい。

私は静かに、お茶碗に入った日本茶を口に含むと、音を立てないように注意しながら喉に送りました。

 

 

 

数分が経ち、気持ちも落ち着いたのでしょうか。

ウォーティが、まだ残る涙をゴシゴシと腕でそぎ落とすように拭き取ると、大きく背伸び。

そして、再びソファに座り直して、こちらを振り向いた彼女は、私の姿を見るや、肩をビクビクッと大きく震わせて、動きを止めました。

 

…思わず、自分の背後に何かがあるのかと不安になり振り向いてしまいます。

しかし、そこには普段のキッチンが広がっているばかり。

 

「…お…お、お前……い、い、い、いつ、いつからいたんだッ!」

 

「え?え?」

 

顔を真っ赤にして叫ぶウォーティに、私は彼女を怒らせることをしただろうかと慌ててしまいます。

 

「あ、あの……ヘリコプターが、石油を掘ってる塔みたいな所に降りる辺りから……」

 

「……ど、どこのシーンだ…」

 

目を泳がせて、必死に、その場面を思い出そうとしている様子のウォーティ。

しばらくして、ハッとして顔を上げたウォーティは、私を指さすと、

 

「あ!お前、それオープニングじゃないか!……え?ずっといたのか?お、お前、声ぐらいかけろよ!」

 

と、ものすごい剣幕でまくし立てて来ます。

いつもならカッと見開いた目に怯えてしまう私ですが、今日のウォーティは、あまり怖くありません。

なんてことを言ったら、きっと怒られてしまいそうですが……

でも、彼女の目は真っ赤で、まだ涙が残っているのでしょうか、眉は下がっています。

まだ潤む大きな瞳は、威圧感よりも、どちらかと言うと、可愛らしさの方が際だっているようにすら感じられました。

 

「だ、だって、ものすごく集中して見ていたから……」

 

笑みがこぼれそうになるのを抑えながら、私はそう返します。

 

「しゅ、集中って……あー、う……た、確かに集中してた……いや、そうじゃなくて……だ、だから、声ぐらいかけろって……!」

 

ビチビチと尾びれをソファに叩きつけながら、ウォーティが怒鳴ります。

その顔は耳まで真っ赤で、いつもの力強い語尾はありません。

 

「ご、ごめんなさい……で、でも、ウォーティ、こういう映画って大好きなんですね」

 

何とか話題を反らそうとする私。

 

「……す、好きって……わ、わ、私は……た、確かに…す、好きだけど……うっ、違う!いや、違わない……」

 

自分が映画に集中している姿を見られたのが、そんなに恥ずかしいのでしょうか。

私は、映画を見ても、どこかに『これは映画なんだ』という気持ちが入ってしまって、

彼女のように、映画の登場人物たちと一緒になって楽しむことはできません。

 

「私は、ウォーティのように、本当に映画を楽しめる方って、素敵だと思いますよ?」

 

私の言葉を聞いて、ちょっと驚いたような表情を見せた彼女ですが、すぐにビクッと肩を震わせると、身を乗り出して来ました。

 

「あっ!お、お、お、お、お前!私が映画見ながら、色々言ってたの聞いてただろ!?」

 

ウォーティの顔が益々赤くなります。

 

「え?え?」

 

一体、ウォーティが何を怒っているのか分からず、私は戸惑ってしまいます。

 

「わ、私の独り言、全部聞いてたんだな!?」

 

ビチビチビチッ

尾びれがソファを何度も叩き、さらに身を乗り出すウォーティ。

その顔は、泣き出しそうなほどに歪んで、それでも目だけは大きく見開かれていました。

 

「あ、あの……か、可愛かったですよ?」

 

とりあえず、ニコッと微笑む私。

そんな私を見て、口をパクパクさせて陸に打ち上げられた魚のような……

ごめんなさい、ちょっと失礼な言い方でした。

でも、この世の終わりとばかりの表情を見せるウォーティ。

その頬は、カーッと赤くなるのが見て取れるほどに赤面して、彼女は身もだえています。

 

「な、な、なんだよそれ!フォローになってねーよ!お前は私を死なすおつもりか!?」

 

頭をかきむしり、尾びれを宙でブンブンと振り回し、ウォーティは背もたれに顔を埋めたり、頭をブンブンと振ったりと、忙しないウォーティ。

……別に恥ずかしがることもないのに。

 

(死なすおつもりか)

 

唐突に、私の頭の中で、彼女の言葉が引っかかりました。

 

(死なすおつもりか)

 

……頭の中で、なぜかチョンマゲを結いだウォーティの姿が浮かんでしまい、思わず吹き出しそうになるのを必死で堪えます。

思わぬ所で拾ってしまった言葉が脳裏を駆けめぐり、あらぬ想像が次々と沸き上がってしまう。

その1つ1つが、私の笑いのツボに、次々と攻撃を仕掛けて止みません。

 

『拙者、ウォーティでござる』

 

忍者のスタイルで頭に頭巾を被って、指を立て、煙と共にどこかへ消えていくウォーティ。

ありえません。

それは絶対にありえない。

しかも忍者なのに名乗ってはいけません。

なんで名乗ってるの、ウォーティ。

 

想像の中で膨らんでいく、忍者ウォーティと、侍ウォーティの姿。

笑ってはいけない……ここで笑ってはいけない……

 

しかし、時代劇ウォーティコンビは、巧みな技術で、私の笑いのツボを攻撃し続けて来るのです。

 

「……ぷっ」

 

「あっ!わ、わ、笑っただろ!」

 

「ち、違います!忍者が!」

 

「なんだよ忍者って!」

 

「ちがうちがう!そうじゃないんですって!」

 

私は懸命に両手を振り出し、涙目のウォーティに必死になって弁解を始めました。

 

 

 

……数分後、ようやく、笑いの誤解を解いた私ですが、ウォーティはすっかり静かになって、ソファに沈み込んでしまっていました。

尾びれが時折、ぱしっ、ぱしっと、彼女の隣に座る私の太ももを弱々しく叩きます。

痛くはありませんが、彼女の戸惑いが、そこからジワジワと伝わってくるみたい。

 

「……な…内緒に…してくれ」

 

黙りこくっていた彼女が、押し出すような言葉を口にします。

 

「……え?」

 

「……わ、わ、私が……映画見て……その…泣いたこと……」

 

「そ、そんなに恥ずかしがることじゃないですって」

 

「た、頼む!だ、ダメなんだ、私。映画とかドラマとか見ると、どうしても……」

 

ちょっとはにかみながら、彼女は弱々しい笑みを浮かべます。

いつもの強気なウォーティと違い、可愛らしい女の子である彼女の一面を垣間見たような気がして、微笑む私。

 

「大丈夫。絶対、ナイショです」

 

「ほ、ホントに?た、頼む……」

 

小柄な彼女が、私を見上げるように僅かに頭を下げました。

いつもは気丈で、私のことを……お風呂場でコチョコチョする時の彼女は、例えるなら女王様のようなのに。

けれど、今の彼女は、私が知っているウォーティではないみたいです。

私がどれだけ懇願しても、決してコチョコチョを止めてくれない時の彼女の顔は、いつも悪戯っぽい笑みに満たされています。

でも、今の彼女の顔には、そんな意地悪な雰囲気は微塵もなく、どこか可憐さすらも感じられました。

 

「そ、そうだ……」

 

「なんだ?」

 

私は、この時とばかりに……

本当は、この時でなくても言えるのですが、ウォーティに、私をコチョコチョする時の手加減をお願いしようと思いました。

 

「私をコチョコチョする時……その……」

 

「あ……わ、分かった。今日から、しばらく、お前がくすぐる役をやれ。そんなのおやすいご用だ!よし!その代わり、絶対、内緒で頼むぞ……」

 

「あれ?あの……」

 

「頼むぞ!」

 

「え?あ、は、はい……?」

 

……私の真意は伝わりませんでした。

そして、なんだか、おかしな事になってしまいました。

私がすぐる役って……

 

今まで、私はずっと、くすぐられる側で、くすぐる役なんてやった事がありません。

ど、どうしよう……

 

 

 

 

 

……どうしよう。

 

湯船に浸かりながら、私は相変わらず、あることについて悩み続けています。

人が聞いたら、きっと「ミ、ミラーさん?」と、真顔で数メートルほど引かれてしまうかもしれない悩み。

でも、私にとっては、とても大切な悩みです。

 

悩めば悩むほど、頭の中を駆けめぐるのは、先ほどのウォーティの言葉。

「お前がくすぐる役をやれ」

……はっきり言って、ムリです。

私は未だかつて、くすぐる側に立ったことなんてありません。

それに、ウォーティは水のカード。

水を手に汲み上げると、指の間からこぼれ落ちてしまうのと同じように、ウォーティは意識していないと、人の形をとどめることはできないのです。

 

私はウォーティの心の中までは分かりませんが、絶対にいざとなったら、水になって逃げ出してしまうでしょう。

そうなったら、魔力を得るために必要な「笑い」を、彼女から引き出すことはできません。

さらに、彼女をくすぐることが出来ない私に対して、ウォーティがイライラし始めるのは間違いありません。

 

その先に待っているもの……イライラウォーティによる、私に対する無慈悲なくすぐり責め。

さらに、私がこの水着を初めて着た時と同じように、徹底的に攻撃されることだけは間違いありません。

……嫌、というわけではありませんが、やはり、誰かの前で大きな口を開いて笑い悶えるのは恥ずかしいものです。

 

ウォーティは誰かにくすぐられたことがないから、私に対して手加減してくれないのではないか。

それは、私の持論でしかありませんが、これから、しばらくの間に、コチョコチョされる苦しみを知ってもらえば、もしかしたら……

最近のウォーティは、私に対して、本当に手加減をしてくれないのです。

日を経る毎に、確実に私のくすぐったいポイントを見出していく彼女を放っておいたら、いつの日か、私は本当に気が狂ってしまうかもしれません。

その前に何とかしなくては……

 

その時、脱衣場からパラパラと、何かがめくれる様な音が聞こえてきました。

……ウォーティ?

 

パラパラパラパラ

(「フーン、フンフーン」私は鼻歌を歌いながら、毛羽だった表紙の糸くずをハサミで整えたのです。)

 

こ、この独特な「セリフ」と「地の文」を織り交ぜた言葉遣いは……

その瞬間、私の頭の中で、ある考えがひらめきました。

ザバーッと湯船から体を持ち上げると、体中からお湯が滝のように流れ落ちます。

軽くトントンと洗い場で跳ねて、水滴を散らすと、お風呂場の引き戸を開きます。

 

濛々と立ち上がる湯気、一気に曇ってしまった鏡の前で、一冊の本が浮いていました。

 

パラパラパラパラ

(「おお!?」私は驚きを隠しきれず、思わず声を上げてしまいながら、振り向いたのです。 って、おおお!?)

 

パラパラとページがめくれる音は、クリエイトの言葉。

人の耳には、ただページがめくれる音にしか聞こえませんが、私たちカードには、彼女の言葉を聞き取ることができます。

 

パラパラパラ

(「ミラー! な、なんて格好を……」驚くべきことに、風呂場から飛び出してきたのは、白い水着姿のミラーでした。

 その水着は、彼女の慎ましげな体を包み込み、その色白の肌にとても似合っています。

 それは大胆かつ、アルプスの山麓に可憐に咲く、一輪の花のよう。

 私は大きく息を飲み、僅かにお湯に火照って赤らんだ肌を―――)

 

「は、恥ずかしいこと言わないでくださいっ」

 

私は思わず胸を両手で隠しながら、私の姿を事細かく説明するクリエイトに声を荒げてしまいます。

 

パラパラパラパラ

(「も、申し訳ない……」私は、はにかみながら怒る彼女に、静かに頭を下げました。)

 

クリエイトは、とっても正直な人で、とても面白い人なのですが……

その独特なしゃべり方は、聞いていると時々恥ずかしくなってしまいます。

 

パラパラ……

((む、胸……結構大きいな……)私は、彼女の胸を見つめながら、静かにそう思うのでした。)

 

「お、思わないでくださいっ!」

 

頬がカッと赤くなるのを感じながら、私は一歩退きます。

しかし、こんなことをやっている場合ではありません。

もう、いつウォーティがやって来ても、おかしくない時間。

私はクリエイトを両手でワシッと掴むと、顔を近づけます。

 

パラパラパラパラ

(「ミ、ミラー!?」それは突然でした。

 彼女は私の体を両手で掴むと、静かに顔を寄せてきたのです。

 ああ、いけません、私たちは女性同士。

 禁断の愛に溺れることなど、決して許されない間柄。

 しかし、彼女の濡れた唇は静かに、艶めかしい水っぽさを湛えて―――)

 

「ち、ち、違いますってば!」

 

必死にかぶりを振る私。

 

パラパラ

(「まあ、冗談なんですけどね」私は、かなり真顔でそう言いました。)

 

……この人、絶対に楽しんでる。

ぐぐっと拳にこもる力を抑えた私は、クリエイトに話しかけます。

 

「うぅ……クリエイト……お願いがあるんです……」

 

 

 

 

一通り、クリエイトに事の事情を話し終えた私は、私の両手の中で、しばらく考え込んでいる彼女の姿を見つめます。

しばらくして……

 

パラパラ

(「分かりました」私はそう言うと、ミラーに、私の巻末付録を手渡したのです。)

 

「巻末付録!?」

 

まさか、クリエイトに付録が付いていたなんて……

クリエイトの中からモソモソと差し出された薄い冊子。

それは、私の予想していた物と異なる、やや薄茶けた紙の束。

 

パラパラ

(「この巻末付録を差し上げます。 1枚使い終わったら、破り捨ててください」

 説明しなくてはなるまいッ!

 この巻末付録は、破り捨てると、私の元に戻ってくるのだ!)

 

「…へ?……あ、ありがとうございます」

 

突然、地の文の調子が変わったクリエイトに戸惑いながら、私は、パラパラと手渡された付録を指先でめくります。

……何も書かれていない、十数枚の紙の束。

これがあれば……

 

パラパラパラ

(「それでは、ごゆっくりー」私はニコニコしながら、これから始まる淫らかな宴を思いながら、静かに本棚へと戻っていくのでした。)

 

「み……淫らかって…!違うんですって…!ううう……」

 

……ものすごく誤解されているような気がします。

そ、そうだ……こんなことをしている場合ではありません。

ウォーティがやって来る前に、このクリエイトの巻末付録に、ウォーティの……

 

ムニッ

 

「うぎゃぁ!」

 

その時、背後から誰かに左脇腹をつつかれ、私は素っ頓狂な声を上げ、その場でくずおれてしまいました。

突然の脇腹の刺激の余韻を残しつつ、ゆっくりと振り返ると、そこにはニヤニヤと悪戯っぽい笑みを浮かべるウォーティの姿。

 

「お前は本当に騒がしいヤツだな」

 

おかしそうに笑うウォーティ。

その尾びれは、床をパタパタと叩いて、いかにも嬉しそうです。

 

「さて、さっさと始めよう」

 

しゃがみ込んだままの私を置いて、尾びれを上手に使ってお風呂場へ入っていくウォーティ。

その後ろ姿を恨めしくすら思いつつ、私も立ち上がり、お風呂場へ足を進めました。

 

 

 

 

 

湯船の中で腕を組んで、じっと私のことを見つめているウォーティ。

その顔は、なぜか自信に満ちあふれ、その不敵なほほ笑みが不気味にすら感じられます。

洗い場のタイルの冷たい感触を足の裏で感じながら、私は左手に巻末付録クリエイトと、右手には鉛筆を握りしめ、ウォーティの視線から逃れようと、目を泳がせるしかありませんでした。

 

時々、チラッとウォーティを見ると、湯船に腰の辺りまで浸かった彼女の上半身に目が行ってしまいます。

……決して豊満とは言えない胸。

肩幅は狭く、なで肩の肩から続く腕は、私の腕よりもずっと細く華奢に見えました。

こうして見ると、その不敵な笑いも、悪戯好きな子供のほほ笑みにすら思えます。

 

じーっと、こちらを見つめるウォーティ。

その顔に浮かぶ絶対的な自信の理由を、私は僅かではありましたが察していました。

 

『いざとなったら、水になって逃げてしまえばいい』

 

私は人型のカード。

その姿を人や動物に変えることはできても、水や炎になって逃れることなどできません。

しかし、ウォーティは水のカード。

本来の姿から転じて、水の姿になれば、私には捕まえることなどできません。

決してウォーティのことを信じていない訳ではありませんが、彼女の自信は間違いなく『いざとなったら水になれる』という強みがあってこそなのでしょう。

 

「さて、私はどうすればいいんだ?」

 

腕を組み、フフンッと流し目でこちらを見るウォーティ。

まるで、さっきまで映画を見ながら号泣していた彼女とは別人のようです……

 

でも、でもです。

私には、この巻末付録クリエイトがあります。

これを使えば……

 

「あ、あの……」

 

「ん?なんだ?」

 

「み、水になって…逃げようなんて思ってないですよね?」

 

ギクッとしたような顔をするウォーティ。

 

「そ、そんなこと、私が思うはずがないだろう!」

 

カラカラと乾いた笑い声を上げるウォーティ。

間違いありません……ウォーティは間違いなく、水になって逃げようとしている。

そして、自分をくすぐれないことを理由に、また私のことをくすぐろうと思っているのかもしれません……

 

「そ、それに水なって逃げ出さなくても、お前のくすぐりぐらい、全く平気だからな」

 

そう言って、腕を組み鼻で笑うウォーティ。

ううっ、ものすごい自信です……

私はウォーティに背を向けると、引き戸のガラスの上に巻末付録クリエイトを当てると、鉛筆で字を書き始めます。

 

……で、でも、一体、クリエイトに何を書けばいいのでしょうか?

 

クリエイトは、書いたことを現実にする魔力を持った本。

ウォーティが水に変じて逃げ出さないように、クリエイトにそれを書いて、現実にしてしまえばいい。

我ながら、とっても良いアイデアだと思ったのですが……

 

例えば『ウォーティが固くなりますように』と書いて、ウォーティがガチガチに固まってしまったら、くすぐっても効果はないかもしれません。

まして『ウォーティが水になりませんように』と書いても、お湯になって逃げられてしまったら、元も子もありません。

では『ウォーティが液体になりませんように』だったら?

……私の腕は二本ですが、ウォーティは自由に自分の体の形を変えて、私に反撃を試みるでしょう。

それに耐えて、ウォーティをくすぐり続ける自信は……私にはありません。

 

ううっ、良いアイデアだと思ったのに……

クリエイトの上に「ウォーティ」とまで書いて、動きを止めていると、背後からウォーティが声をかけて来ました。

 

「お、おい……何やってるんだ…?」

 

その声に振り返る私。

ウォーティは、訝しげな表情で私を見つめていますが、引き戸のガラスの上にある紙を見た瞬間「あ!」と声を上げました。

 

「え?……え??」

 

「お前、それクリエイトじゃないか!ずっこいぞ!」

 

「え?え!?」

 

ウォーティが目をつり上げて、その体が何本もの透き通った細い触手を伸ばしてきます。

そして、私の手から鉛筆と、クリエイトを取り上げようと、ワラワラと私に群がって来ました。

ま、まずいです……このまま、ウォーティにクリエイトを取られてしまったら、本当に、私には手だてがなくなってしまいます。

 

私の頭の中で様々な可能性が入り乱れます。

ウォーティが水になって逃げない方法……水になれない……乾かす?

 

私の脳裏にカラカラに干からびたウォーティが浮かびます。

そ、それは、あんまりにも……

 

その時、引き戸に手を突いて必死に考えている私の体に、強烈な刺激が走り、私は「きゃあ!!」と声を上げてしまいました。

引き戸に手を押し当てているため、無防備になってしまっていた脇の下に、数本の触手が潜り込んで、モゾモゾと動き始めたのです。

突然の攻撃に、思わず鉛筆を取り落としそうになるのを必死に堪え、ウォーティに振り向く私。

 

ウォーティはニヤニヤと笑いながら、さらに何本もの触手を伸ばしつつありました。

その表情には若干の焦りが感じられますが、とても楽しそう。

ううっ、やっぱり私にウォーティをくすぐることなんてムリだったんです……

 

「くくッ……ウォーティやめて!くひっ!」

 

脇の下に群がる、数え切れないほぞの触手。

その1本1本が、大きく開かれた脇の下の皮膚の上を、あらん限りの方法で攻撃しているのを感じます。

ある触手は、皮膚の上をゆっくりとなぞり、ある触手は、脇の奥の方へ潜り込んでモニュモニュと肌をもみくちゃにして、私の手から鉛筆とクリエイトを取り落とさせようとしていました。

二の腕にも数本の触手が絡みつき、ツンツンと、まるで指先でつつくように刺激を送り込みながら、脇の下へ近づいては遠のいて行く。

1つ1つの触手の動きは、でたらめのようで、私にとって一番やって欲しくない方法で、脇の下へ意地悪な攻撃を仕掛け続けて来るのです。

 

「くひひッ!ウォーティずるいぃッ!くひゃっ……!?」

 

「ズルいのはお前だろ!」

 

何とか腕と胴体を近づけて、触手からの攻撃から脇の下を守ろうとしますが、私の行為は触手が皮膚に触れる面積を増やしてしまう結果となってしまいます。

わずかに開いた脇の下の皮膚を持ち上げるように、新たな触手が次々と進入して、そこに空いた空間に、さらに触手が入り込む。

無数の指先で、敏感な肌を絶え間なくくすぐられる感覚は、私の腕から確実に力を奪っていくのです。

 

「くひゃひゃ!ちょ…だめぇ!ひどい!うははは!ウォーティひどいです!くははははは!」

 

徹底した脇の下へのくすぐり。

いつもなら全身に及ぶくすぐりが、両方の脇の下へ集中しているみたい。

全身から汗が噴き出し、額から流れる汗が目に入り、じんわりとした痛みとなって広がっていきます。

隙間なく脇の下へ貼り付いた触手たちが、柔らかな肌を決して逃すまいと、絶えず蠢き続け、私の頭の中はくすぐったさで真っ白になって来ていました。

 

「はひひッ……!うひゃっ!?やだぁ!!くすぐったい!あははははははっ!くすぐったいってばぁぁぁぁ!!」

 

脇の下から、汗と触手たちが含む水分で、グチュグチュと音が立ち始めています。

足はガクガクと震え、立っているのも辛い状態。

それでも、指先では懸命にクリエイトと鉛筆を掴み、くすぐったさの中で、必死にウォーティをどうやって水にさせずにくすぐるか。

そのことだけを考え続けます。

 

「くひゃっ!くははははははは!あひっ!……ひゃははははははは!ウォーティ!なっ、なんで脇の下ばっかりぃぃぃぃ!!うひひッ!」

 

「お前が正々堂々としないからだろう」

 

「ひひひッ!こ、答えになってな……くふっ!うひゃははははははは!ケホッケホッ」

 

喉が渇いて、ねっとりとした息にむせ返りながら、私は必死になって頭を働かせようとします。

しかし、脇の下という敏感な部分で繰り広げられる理不尽な攻撃は、私の思考を確実に奪おうとしています。

 

「あははははははははは!くすぐったい!脇やめて!やめて!ひひっ…!脇はやめて!!脇やめてぇぇぇぇえはははははははは!!」

 

閉じることもままならない口元からは涎が流れ出し、いよいよ息も苦しくなって、目からは涙が流れ出して来ました。

全身がくすぐったさと、激しい笑いによる疲労から、汗で濡れていきます。

 

「ひゃはッ……!脇ばっかり…ひひひっ!ひゃはは!もうやめて……おかしくなる!あはははははッ!!ウォーティごめんなさい、ごめんなさいぃぃぃぃぃ!!」

 

激しいくすぐったさ、くすぐったさがくすぐったさを生み出す悪循環の中で、笑いが止まらなくなった私の体は、この地獄のような時間から一刻も早く抜け出したいと思うあまり、腕から力を抜こうとします。

しかし、そうなったら最後、間違いなくウォーティは、私が気を失うまでくすぐりを止めてくれないでしょう。

何とかしないと、何とかしないと。

 

「あははははははははははは!なんとかッ!くはっ!?なんとかぁぁぁ!!あははははははははははは!くははははははははははは!」

 

まして、ウォーティの手にクリエイトが渡ってしまったとしたら……

間違いなく、私をくすぐり易くするための方法などを書いて、私を徹底的にくすぐり続けるに決まっています。

……あ。

 

「くひひひひッッ!ひょ…ひょうだぁぁ!!!……くはははははははははは!はぁっ…はひぃぃぃ!くふふふっ……!」

 

そうだ!

私はくすぐったさの渦の中で、ガクガクと震える腕を無理矢理動かして、クリエイトに文字を書き込んでいます。

それを察したのでしょう、脇の下で蠢く触手たちの動きが、より活発になります。

 

「ちょ…!くははははははははは!もみゃないでぇぇぇぇ!ひゃくくくくくくくっ!ひゃめぇぇええええ!!やめへぇ!くくっ!」

 

くちゅっぐちゅっくちゃっ……

脇の下から漏れ出す音が激しさを増し、薄い皮膚から止めどなく流し込まれるくすぐったさは、私に笑いを強要しようと暴れ回ります。

指先から力が抜けそうになると、全身に力を込めて、鉛筆とクリエイトを取り落とさないように必死に堪える。

そこに新たなくすぐったさが加わり、さらに力を込める。

 

「くくくくくっ……!あははは!まってぇぇぇぇ!!ぐひゃひゃひゃ!!まっへぇ!!ほんのひょっとだけ……くひひひひひっ!あははは!あーはっはっはっ!!」

 

ほんのちょっとだけ待って……

そんな私の言葉など、ウォーティが聞いてくれるはずがありません。

拷問のようなくすぐったさの中で、震える手でクリエイトに文字を書き続ける私。

目からは涙がポタポタとタイルに滴り、口から流れ出した涎がアゴを伝って、胸を隠している水着を濡らします。

触手が、そのネットリとした涎をすくい上げ、脇の下へ塗り込むのです。

 

ただでさえくすぐったいのに、ヌルヌルとした粘液を帯びた触手は、半開きの脇の下の中で、今まで入り込めなかった場所にまでニュルンと侵入してしまいます。

肌が震えて、その1つ1つの振動が、くすぐったさに変換されて、私の神経を狂わせようとのたうち回っているみたい……

 

「うひひひひひ!にゅっ……にゅるにゅるだめぇ!!くははははははは!ふええええええ!くしゅぐりゃないでぇぇぇぇぇ!!くはっ!?くはははははは!」

 

全身がビクン、ビクンと痙攣するように跳ね回り、崩れ落ちそうになる膝に力を入れ、私は文字を書き続けます。

1つの文字を書くのが、こんなにもどかしいと感じたことは、今までありません。

 

そんな私の苦しみを楽しむように、次々と触手が、私の口から流れ出した涎をすくい取り、それを脇の下へ塗り込んでいきます。

本当にわずかな隙間なのに、そこから、ぬるぬるとした触手が入り込み、脇の下の奥でグニュグニュと暴れ回る。

ものすごいくすぐったさです。

全身をくすぐられる以上の刺激の波、それが両方の脇の下の、それも脇の窪みの辺りに集中している。

拷問を通り越して、そのくすぐったさの中に、まるで敵意すら感じられるほどです。

実際のウォーティには、その気がなくても、私が受けているのは、まさにくすぐりによる処刑のようです。

耐えられない、我慢できない刺激の塊が、私の心を「くすぐったい」という感覚一色に染め上げようとしている……

 

「あはははははははははははは!へぁひひひひひひひっ!ぴぎゃぁぁあああああぁぁああ!あひひひっ!あははははははは!」

 

視界が涙でにじんで良く見えません。

それでも、うっすらとした狭い視界の中で、私は激しいくすぐったさに耐えきり、ようやく、その一文を書き終えました。

 

その途端、脇の下の中で踊り狂っていた、何本もの触手の感触が、すーっと引いていくのを感じました。

引いていく途中、脇の下の皮膚をひっかくように刺激する物、皮膚にしがみついて、柔らかな肌をプルンと刺激する物。

様々な刺激が、私の口から笑いを迸らせ続けています。

 

「へぁぁあははははははははは!ひっかかないへぇぇぇぇ!!くはははは!あははははははははははッッ!!」

 

十数秒かけて脇の下から去った触手たちは、ウォーティの体に吸い込まれるようにして消えていきます。

それを呆然と見つめるウォーティが、ハッとしたように、私の顔を見つめました。

 

私の手に握られているクリエイト。

そこに書かれた文字は……

 

『ウォーティをくすぐりやすくしてください』

 

精一杯に考えた、出来るだけ短い一文。

しかし、ウォーティが、水になって逃げることも、私に反撃もできない……だろうと、私が考え出した、いわば万能の一文。

 

「…はぁッ……はふぅッ…はぁっ……はぁっ……や、やった……はぁっ……はあっ……」

 

全身が汗で濡れて、体中が上気しています。

まだ、頭がぼーっとしていますが、それは、くすぐりが止んだ瞬間から、少しずつ霧が晴れるように引き始めていました。

あまりのくすぐったさに、お腹がピクピクと動いているみたいです……

激しい息切れの中で、目から溢れる涙と、口元から流れる涎を腕で拭き取った私は、おもむろに立ち上がりました。

体中が疲労していますが、ウォーティに毎日のようにくすぐられ続けた私は、それなりに体力が付いているのでしょうか。

その足取りは、未だフラフラとしているものの、立っていることは苦しくなく、また荒い息も少しずつ収まりつつあります。

 

「お、お前、何書いた!?」

 

「……さて、ウォーティさん?」

 

彼女の叫び声にも聞こえる問いかけには答えず、私はニッコリ微笑みます。

私の中で、沸々と沸き上がるものは、強い達成感。

そして、ウォーティをくすぐりたい、という強い意志。

 

「ちょ……ちょっと待て!待てって!」

 

ウォーティは、そう言いながら体に力を込めます。

おそらく、水になって逃げだそうとしているのでしょう。

しかし、クリエイトの魔力は、私たちよりもずっと強く、そう簡単には破ることはできません。

 

「な、な、なんだよ、その笑顔は!?来るな!」

 

私は後ろ手に引き戸を開き、その向こう側にクリエイトと鉛筆を置き、再び引き戸を閉めました。

そして、そっと、引き戸のねじ鍵を閉めます。

 

そして、一歩ずつ、ゆっくりとウォーティに近づいていきます。

手をワキワキさせながら。

 

「お、おい!な、な、な、なんで黙ってるんだよ!…あ……お、怒ってる?」

 

「はい」

 

ニッコリと返す私。

実はそんなに怒ってはいません。

ただ、自分は水になって逃げようとしているのに、私にはクリエイトに文字も書かせてくれない……

そのことに、ちょっぴりですが、ムカムカッとした気持ちを感じています。

ずるいです、ウォーティはずるいです。

 

「ご、ごめん!私が悪かった!は、は、話し合おうじゃないか!」

 

「ウォーティ、約束、覚えてますよね?」

 

私はニコニコと笑顔のまま、ウォーティに近づいていきます。

ウォーティが両手をばたつかせて、私を追い払おうとしますが、その細い腕から繰り出される力は痛くはありません。

 

「ウォーティが映画を見て泣いたのをナイショにする代わりに、私が、『しばらくの間』は、くすぐり役になっていいって……」

 

『しばらくの間』という部分を、あえて強調する私。

 

「あ……ああ……そ、そうだっけ……あはは……」

 

いよいよお風呂場の壁に追い詰められたウォーティ。

その顔は、恐怖に引きつっているみたいです。

 

「それに、私のくすぐりぐらい、平気なんですよね?」

 

「あ……あはは、そ、そんな事言ったっけ……」

 

私は、そっとウォーティに両手を伸ばして、彼女の両腕を掴みます。

そして、左手で両手首を掴むと、ウォーティの顔を見ました。

 

口元がピクピクと引きつった笑いを浮かべ、その表情からは不安だけがにじみ出しているみたい。

いつもの強気な彼女の顔は、そこにはなく、私よりもずっと小さな体は、ふるふると震えています。

 

「じゃあ、行きますね?」

 

ゆっくりと指先を伸ばし、ウォーティの体……

私がさっきまで攻撃され続けた脇の下へ、指をあてがいました。

 

「……ッ」

 

びくっと、ウォーティの体が跳ね、その大きな目が、さらに大きく見開かれました。

両手首を持ち上げられ、バンザイの格好になっている彼女の、無防備な左脇の下へ、人差し指と薬指を揃えて、なぞらせます。

柔らかな肌の感触、若干湿り気を帯びて、微かに温かな皮膚に指先を潜らせるように。

丁寧に、丁寧に、円を描くようになぞらせて行きます。

 

「…くく……うううっ……はひっ……くふっ……」

 

脇の下の皮膚がくぼんで、ウォーティの体がピクピクと小さく震えていました。

先ほどまで開かれていた目は、強く閉じられています。

彼女の両手首は、何とかして私の手から逃れようと暴れていますが、私はそれを許しません。

 

脇の下の窪みから、二の腕へ上り、再び脇の下へ。

指先を微かにクニクニと動かしながら、刺激を与えます。

 

「……うひゃっ!?…く、くひひぃ……はひゃっ!?」

 

たった、これだけの刺激なのに、ウォーティの口からは、くぐもった笑い声が漏れだしてしまっています。

その顔には、くすぐりによる笑いと、その笑いを堪えようとする感情が入り乱れ、私はそれを楽しむように指先をなぞらせ続けます。

 

「ひひっ……はぁ…はひゃッ!ミ、ミラぁくひゃっ!?あはっ……く、くすぐったい……ってッ!」

 

小さな体が、私の指先から送られる刺激に素直に反応しています。

たった二本の指で、ウォーティを身もだえさせていることに、私は、ちょっとした優越感すら感じていました。

 

「ここは、どうですか?こちょこちょ……」

 

「はひぃ!?くっ……くひゃッ!くひひっ……ちょっ…ふひひっ…!」

 

5本の指を立てて、大きく開かれた左脇の下をくすぐると、ウォーティの口から、いよいよ笑い声とはっきり分かる、甘い息が漏れ始めました。

 

「ひひっ……!も、もうやめ……くははは!やめろって……くはははは!ちょ……タンマ!あひひっ…!!」

 

脇の下の上で、5本の指をサワサワサワっと動かし続けます。

私なら、まだ耐えられる刺激。

しかし、ウォーティは、その刺激でも笑い声を上げて体を左右にくねらせています。

 

「こことか、とってもくすぐったいんですよ?」

 

脇の下から脇腹へ指先を滑らせ、脇腹から揉むように指先を蠢かせながら、再び脇の下へ戻ってくる。

ウォーティの体がビクビクッと跳ね上がり、尾びれをビチビチビチッとタイルの上に打ち付け始めました。

 

「くひゃ…!ちょ…待って!……くすぐったいぃ!!くひっ!やめろって!あははは!ちょ……ひゃはははっ!」

 

「ぐりぐり……」

 

私は、ウォーティの脇腹から少し上、肋骨がある辺りに、若干の力を込めて指をあてがいます。

本来なら肋骨がある場所、しかし、そこも柔らかい皮膚の感触があるばかり。

しかし、ウォーティはその指先の遊びから生み出されるくすぐったさを敏感に感じ取っています。

 

「ひゃはははは!ちょ…待っ…!くはははははは!くすぐったいすぎだっ……くははっ!くはははは!」

 

まだ1分も経っていないのに、すでに彼女の手首からは力が抜け、下半身はガクガクと震え始めています。

その顔は、くすぐったさに歪んではいますが、まだ余裕があるように見えました。

 

もう手を離しても大丈夫、私はそう思い、彼女の両手首を自由にすると、ボディソープが入ったプラスティックの容器のポンプを押しました。

トロリと流れ出すボディソープを左手で受け取り、そのまま、彼女の脇の下へ滑り込ませます。

 

「くぎゃっ!?」

 

自由になった両腕、それを必死に胴体に締め付けて、脇の下を守ったつもりでいただろう彼女にとって、突然の刺激は不意打ちの他の何者でもなったのでしょう。

 

「くひゃひっ!にゅるってしたぞ!?くははははは!にゅるって……くひひひっ!」

 

そのまま、滑り込ませた脇の下の中で、モニョモニョと指先を動かし始めます。

肌の上でボディソープが泡立ち、しっかりと閉められているはずの脇の下の中で、指先がニュルニュルと動き回ります。

 

「あははははは!?な、なんで!?ひはははははははは!あはははははははははは!」

 

柔らかな皮膚と皮膚の間を、私の指先がくねりながら進む感触。

しっかりと閉められているばかりに、その刺激を脇の下全体で受けてしまっています。

 

「あははははははははは!ちょ…待てって…くははっ…!はうぅぅぅ!ひゃへぇっ!はぅっ!?はうぅぅぅぅ!?」

 

指先を脇の下から脇腹へ、そして、脇の下へ。

滑りやすくなった肌は、私の指先の動きを手助けしてくれます。

 

「ひへぁははははははははッ!?にゅるにゅるする……!やめてぇっ…!あははっ!」

 

右手でも泡をすくい、脇の下から脇腹へ塗りつけていきます。

脇の下から脇腹へ。

何度も何度も、執拗に。

 

「脇腹やめて!くひっ!ミラーッ!くははははっ!あははは!死ぬって!死んじゃうってばぁぁあははははははははは!!」

 

全身をくねらせて笑い悶えるウォーティ。

私よりもずっと幼く感じる体の感触。

それを撫でくすぐっていることへの、言い知れない優越感。

 

「あはははははははははははは!はぁっ!?はひぃ!?くふふふふっ!あははは!ミラーぁぁ!やめてっ!やめてぇぇぇぇ!!」

 

脇腹から脇の下へ。

そして、太ももに当たる自分へも指先をなぞらせます。

 

「くははははははははは!あははははははははっ!やめてって!やめて!ひゃははははははははははは!」

 

大声で笑い転げる、彼女の姿。

脇の下と脇腹にかけて、白い泡が立ち、その上を指先がクネクネと動き回ります。

彼女の顔色は分かりませんが、目からは涙が流れています。

 

ふと、私はくすぐっていた指先を止め、その瞬間、ウォーティはガクリとその場に崩れ落ちてしまいました。

 

「はひぃっ……はひいぃっ……はひいぃぃ……」

 

息も絶え絶えという様子の彼女。

私はそんなウォーティの肩に手をかけると、その体をくるりと回して、彼女の背中をお腹で受け止めます。

 

「ウォーティ、汗かきましたね……」

 

そう言うと、私は再び両手で彼女の脇腹を捕らえます。

そして、両足で彼女の腰を挟み込むと、ゆっくりと指を動かし始めました。

 

「はあぁぁぁああああ!」

 

指先にクニクニと肌の感触。

彼女がのけぞり、再び始まったコチョコチョから逃れようと、全身を動かします。

しかし、私の両足が、それを許しません。

 

「ウォーティ、まだ、始まったばかりですよ?」

 

彼女の耳元で、私はつぶやくと、指先を脇腹から腹部へ、そして、そのまま胸をとおって脇の下へ。

爪を立てるようにして、彼女の体へくすぐったさを送り込むためだけに、指先を動かし続けます。

 

「ぎゃひひひひっ!?くはぁあああははははははははは!指立てないでってばぁ!あははは!クククッ!あはははははははははは!」

 

私のお腹の上で、弾むように動く小さな背中。

彼女の肌の上に指を走らせながら、私は次なる攻撃を考え始めていました。

 

いつも強い口調は、もう微塵にも感じられません。

ただ、笑い狂い、私に懇願の言葉を投げつけるだけのウォーティ。

私の足の間から逃げることもできず、脇腹への攻撃を防ぐこともできず。

ただ、笑い転げ、いつ終わるとも知れないくすぐりの中で、彼女はどんな気持ちなのでしょうか?

 

「くひひひひッ!あははは……あははははははははッ!くすぐったいってぇぇえははははッ!くはっ!?ひははっ!」

 

私は、左手は脇腹に添えたまま、右手でひげ剃り用のシェービングブラシを手に取ります。

柔らかで、毛羽だったブラシ。

これで脇の下を撫で擦られたら……

 

「ウォーティ、もう少し、脇の下を綺麗にしましょうね」

 

そう言った私は、笑いのために震える彼女の肩にブラシを押し当てると、それを脇の下へ向けて滑らせました。

 

 

 

 

 

「はあっくぅッ!」

 

ウォーティの顔が、脇の下へ滑り込んだシェービングブラシの感触に歪み、口からうめき声とも、笑い声ともつかない吐息が漏れ出しました。

無数のやや固めの剛毛、それが敏感な脇の下の皮膚を撫で上げる感覚……

想像するだけで、私の脇の下もムズムズしてしまいます。

 

「ひくぃっ!?あひっ!なんだよコレぇッ……ッ…くひゃはははッ!」

 

柄の部分を握りしめ、彼女の脇の下の中で、ブラシをグリグリと回します。

脇の肉壁に挟まれたブラシの先端は、その中で予想の付かない動きをしているのが指先の感覚で感じられました。

脇の下の奥へ入り込んで、サワサワと肌を擦る部分もあれば、毛羽だって脇の皮膚の周囲をザワザワと撫でつける部分もあるみたい。

それも、1本1本がとても細くて、若干の固さを持った無数の毛の塊です。

その何百本とも知れない無数の毛先が、薄い皮膚を容赦なく攻撃するのだから、堪りません。

 

「ぐひゃひゃッ!くひぃっ!くはッ…くははははははははっ!わ、わきが擦れてぇぇぇッ!」

 

右の脇の下の中を走り回る毛先が、様々な方法でウォーティに『くすぐったさ』という、どのようにしても耐えられない刺激を与え続けているようです。

強く目を閉じて、大きく口を開き、お腹を震わせて笑うウォーティ。

その顔は、あどけない子供のように可愛らしく、彼女の小さな背中がフルフルと震える度に、私のお腹にも、彼女のくすぐったさが伝わってくるみたいに感じられました。

 

「くへははははッ!ちょ……くひひっ!あはははははは!やめてェッ!うひゃッ!?くひっ!!あははは!」

 

その笑い声は、きっとウォーティにしてみれば苦しみの他の何者でもないはずなのに。

私の耳には、可愛らしい女の子が楽しそうに笑っているように聞こえてしまいます。

左手の指をモゾモゾと動かしながら、脇腹から脇の下の間を行ったり来たりさせつつ、時々、脇の窪みをツンッとつつく。

 

「ひゃひッ!?あははははははははは!あははッ!ミラぁ…ッ!!うひぃッ!くははははははは!」

 

たった5本の指と、1本のブラシから生み出される刺激が、ウォーティの体をのたうち回している。

それも、ほんの少しの力加減だけで、彼女の体は簡単に動きを変えるのです。

 

「ほぉら、こちょこちょこちょー」

 

「ひゃぎゃぁっ…!あははっ!こ、こちょこちょ言うなってぇッ…くひぃっ!!」

 

耳元で、私が「こちょこちょ」や「もぞもぞ」と囁くだけでも、ウォーティは面白いように敏感に反応してくれます。

それが面白くて、私は耳元で、いかにもくすぐったそうな言葉を、彼女の耳に吐息と共に送り込み続けてしまいます。

 

「脇腹行きますよ……もぞもぞもぞ」

 

「…くはぁッ!?あははッ!そ、そこ脇腹じゃないってぇッ!あはははははッ!」

 

脇腹をくすぐると言っておきながら、脇の下へ指先を潜り込ませたり。

ふぅっ、と耳に息を吹きかけると、彼女の肩がガクガクッと震えて「あはぅぅっ…!」と、甘い悲鳴が上がります。

 

「ウォーティ、私のコチョコチョなんて平気なんですもんねぇ」

 

わざと、ねっとりとした言い方で、彼女の脇の下を左手でかき混ぜながら囁きます。

もちろん、右の脇の下へはブラシを潜り込ませて、グリグリと、やや乱暴に回しながら。

 

「くひッ…!そ、そんなコト…ッ…あははははははははは!あはははははははははははははは!」

 

閉じられた脇の下の中を、ボディソープの助けを借りて、柔らかな肉と肉の間を指先でなぞります。

指先で、柔らかな脇の下の皮膚の感触を楽しむように、出来るだけ優しく、柔らかく。

それは、決して激しくない、どちらかと言うと愛撫に近いくすぐり方。

それなのに、ウォーティは全身を上気させて、笑い声を上げ続けています。

タイルの上に放り出された尾びれを必死にばたつかせて、腕を強く閉じて、何とか脇の下と脇腹への刺激から逃れようと、上半身を震わせて。

 

「ひゃひぃ……ひゃはっ!くはっ!?はぁっ!あははっ!はひぃっ!!」

 

それでも、私の両足は彼女の体を縛り付け、決して逃げ出すことを許しません。

彼女の脇の下から脇腹を指先とブラシでくすぐりながら、左の指を、彼女のお尻にもなぞらせる。

すると、ガクガクガクッとウォーティの体が震え、口から甘い叫び声が上がるのです。

 

「はぁぁうッ!くひひっ!あ……あっ……あはっ!くひゃ!?」

 

ふふ……まるで全身がくすぐったさの塊みたい。

どこを触れても、彼女は面白いように敏感に反応して、笑い声を上げてくれます。

例えば、首筋へ唇を当てて軽くキスをすると。

 

「ひゃはっ!…お、お前ッ!くひひっ!そこはダメだって!あははははははは!」

 

「でも、ウォーティは、私のコチョコチョなんて平気なんですもんね」

 

わざと意地悪い言葉をかけて、右脇の下で踊るブラシを脇腹までなぞらせます。

 

「くはぁっ……ッ!あはぁぁぁ……あああっ…!」

 

ブルブルブルッと、彼女の小さな背中が震えます。

 

「ふふ……とっても敏感……ふぅっ」

 

耳元に息を吹きかけ、彼女がのけぞる瞬間に、ブラシを再び脇の下へ戻す。

すると、のけぞった彼女の顔がくすぐったさに震えて、その可愛らしい大きな目を、大きく見開きます。

 

「かはァッ!?ひひっ!!くひひひひひッ!?」

 

脇腹からお尻を、ゆっくりと撫でる左手を、尾っぽまで伸ばします。

わずかなウロコの感触、でも、柔らかくて滑らかな肌。

そこに5本の指を立てて、すぅっと撫で上げて、再び指先を脇の下へ戻すと、ウォーティの全身が再び大きく跳ね上がりました。

 

「ひぎぃッ!!くひぃっ!くははっ!あはっ……あひぃぃ!!ああぅッ…くぅッ!!」

 

脇の下へ潜り込ませた指先を、今度は首筋へなぞらせます。

首筋からアゴの下までを、指先でじっくりと愛撫しながら、鎖骨へ指先を走らせ、そのまま、申し訳程度に膨らむ胸をサワサワと撫でくすぐります。

 

「くひゃァッ!首筋は…ッ!あぅぅ……はぁぁァ……はぁぁ……ッ…くはァッ!?」

 

胸の膨らみを静かに、ゆっくりと、しかし、なるべくくすぐったく感じるように愛撫します。

ウォーティの背中は震え、首を左右に振って、言葉にならない言葉が口から漏れ出すばかり。

 

「あはぁぁああぁ……あぁっ……あははッ!ひひッ!あぁァ……」

 

右脇の下と脇腹を往復し続けるブラシを、腹部へもなぞらせて行きます。

その、小さなお腹の上で、サワサワとブラシを暴れさせ、お腹の真ん中にある、おヘソへもブラシをあてがい、グリグリと柄の部分を転がすと、ウォーティが尾びれをバチッバチッとタイルに叩きつけました。

 

「ぶふぅッ!あぁぁ……あひゃッ…!あはははははは!ヘソだめだってぇぇ!!ああああ……あああぅぅ……うはははははははは!」

 

おヘソをゆっくりと、時折、激しく、無数の毛先でほじくります。

小さな窪みの中では、きっと、そのゴワゴワとした毛先が、その1つ1つのヒダの中へも入り込み、縦横無尽に動き回っているのでしょう。

 

「ひきゃッ!……はぁァ…おかしくなるッ!!くぅぅ……ひゃぁあ……」

 

胸をまさぐっていた指を、鎖骨へ戻し、再び首筋へ。

一瞬でも指を立てれば傷が付いてしまうシルクの生地を扱うように、指の腹でじっくりと撫で遊びながら。

ウォーティの柔らかな肌を、丁寧に愛撫します。

その指先を再び肩へ戻し、そっと脇の入り口に指先を軽く潜らせると、またウォーティがのけぞり、尾びれをブルブルブルッと震わせました。

もう両腕からは抵抗する力は失われ、わずかな力で胴に腕を押し当てているばかりです。

 

「もにょもにょー」

 

脇の下の背面から、指の先端をクニクニと動かしつつ、ゆっくりと脇の下へ指先を潜らせていきます。

 

「あぁぁ……はぁぁ……ッ…くひっ!くはは……くははははははははッ!ひぎゃぁあ!!あははっ……はぁ…はあぁぁ……」

 

指先は第一関節から、第二関節へ。

少しずつ、脇の下へ飲み込まれていきます。

指先で、その脇の下のヒダの1つ1つを絡めるように刺激しながら、ゆっくりと、出来るだけ時間をかけて。

 

「はあぁァァ……ああぁ……ひはァッ!…くくっ……あああ……ああぁ……」

 

指が脇の下へ潜り込み、私は指先に力を込めてモミモミと脇の下をくすぐり始めました。

 

「…ッ…ひぃ…!!あははははははは!!あはははははははははは!!くく……ずっこいぞォ…!!くひひひひ!!」

 

「でも、平気なんですよねぇ?……こちょこちょぉ」

 

右手に持ったブラシで刺激を続けていた、おヘソ。

ブラシをそのまま胸の方へ動かします。

そして、胸の先端……膨らみのてっぺん辺りで、ブラシをサワサワとなぞると、ウォーティの体が今までになく大きく跳ね上がりました。

 

「ひぁぁあ!!!」

 

脇の下の中で、じっくりと、指先を動かしながら、胸をブラシで刺激される。

私だったら絶対に耐えられないでしょう……

 

「あああ……あははははははッ!くひぃッ…ッ……はぁぁぁ……ああぁ……あああ……」

 

大きな口を開けて、目を大きく見開いて。

その可愛らしい笑顔が浮かぶ顔を激しく左右に振り乱して。

とても、とてもくすぐったそう。

 

「ああ……あぁッ…!くひひっ…くはははは!…ぅぅ……うぁぁ……胸がぁぁぁぁ!!胸がぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ウォーティの顔は真っ赤に紅潮し、全身からは汗が噴き出しています。

口から流れ出す涎、目からは涙が止めどもなく流れ出して、その可愛らしい顔を汚していました。

時折、湯船から手でお湯を彼女の体にかけて、上半身を包み込むボディソープを泡立たせます。

ヌルヌルとした肌の上で、私の指先が走り回る感触。

私の指先が感じている、柔らかく敏感なウォーティの肌の滑らかさ。

彼女の小さな体には、私の与えているくすぐりは、彼女の許容範囲を遙かに超えているはずです。

 

「あはは……あぁぁ……はぁぁぁ……ひひっ……あああァァ……」

 

胸の先端を執拗にブラシで愛撫し、脇の下を指先がクニクニといじり回し、私の両足に挟まれた体は、そのくすぐったい空間から逃げ出すこともできない。

その顔が、くすぐったさに大きく引きつり、弱々しい笑い声を上げている。

 

「あぁぁ……はぁぁぁぁッ……あははっ……」

 

でも、ウォーティの口から漏れ出す吐息は、笑い声だけではないみたいです。

時々、その呼吸の中に混じる、とても甘い香りがする熱い息。

 

「ああ……ミラァ……あぁ……ミラァァ……」

 

その涙で濡れた瞳の中に、トロンとした光りが宿っている。

両腕はすでに完全に力なくうな垂れて、脇の下の中で動く指先を挟み込もうとすらしていません。

尾びれはぺちっ、ぺちっと弱々しくタイルを叩き、時々、ビクビクッと痙攣するように震えるだけ。

 

「ぁぁ……みらぁぁ……んぁ……みりゃぁぁ……」

 

「……かわいい」

 

とろけてしまいそうなほど、熱い肌。

眠たそうな顔には、笑いと、明らかな快感の表情を見て取ることができます。

彼女の体には、もう抵抗する力は残っていないのでしょう。

いいえ、もしかしたら、抵抗する力は残っていても、あえて抵抗しないのかもしれません……

彼女の体中から、とても甘い香りが漂ってくるみたい。

頬を真っ赤に染めて、小さな体がフルフルッと震えたり、ビクッと跳ね上がったり。

くすぐったさと、心地の良い感覚の狭間で、彼女は一体何を思っているのだろう?

ほんのちょっとだけ気になります。

 

「ん…ッ……あははっ…!あはっ……んぅっ…くひゃッ!」

 

脇の下から脇腹へ指先を動かし、脇腹から背中をなぞり。

背骨にあたる部分をツゥーッと指で撫で上げて、再び脇の下へ指先を差し入れる。

胸の上では、相変わらずブラシがサワサワと甘い刺激を送り込み続けています。

 

「んぅっ…くひっ!あははははははッ!みらぁぁ……あぁ……あはははっ…んぁ……」

 

目がうつろになり、口はだらしなく開かれて、涎が糸を引いてタイルに流れ落ちています。

もう、限界かもしれない……

そう察した私は、ブラシと脇の下へ差し入れていた指を抜き、両腕でウォーティの体を抱きしめました。

 

「あぁぁ……みらぁぁ……ああ…みりゃぁぁ……」

 

うわごとのように、ウォーティが私の名前を何度も呼び続けています。

その顔は、とても可愛らしい笑みが浮かんでいますが、どこか寂しそう。

 

「ぁぁ……みりゃぁ……ぁぁ…りゃぁぁ……」

 

全身の筋肉がとろけてしまったように、彼女の体はぐったりとしていました。

汗でびっしょりになった小さな体、私のお腹にもたれかかる彼女を抱きしめたまま、私はそっと、彼女の髪を撫でました。

濡れた髪の毛の間に指先をなぞらせるだけで、ウォーティの体が小さく震えています。

もう、どこを触っても、くすぐったさと気持ちよさを感じてしまう、そんな状態なのかもしれません。

私は、そんな彼女を愛おしく思いながら、耳元でささやきます。

 

「おわりましたよ……」

 

「ふぁぁ……みりゃぁぁ……ああぁ……はぁぁぁ……ぁぁ……」

 

その顔に安堵が押し寄せ、ゆっくりと目が閉じられます。

胸を僅かに上下させて、あっという間に寝息を立て始めるウォーティ。

 

私はすっかり火照ってしまった彼女の体を抱きかかえると、ゆっくりと湯船に自分の体と共に沈めました。

全身にすり込まれたボディソープを湯船の中で洗い落とす中、寝息の中で、ウォーティは「くふっ」とか「ひはっ」と、可愛らしい笑い声を上げるのを楽しみながら。

 

私は、その小さな唇に、そっと自分の唇を添え、彼女の体を撫で続けます。

そして、しばらくの間は続く、この『遊び』の続きを、どうやって進めようか、そんなことばかり思っていました。

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